多くの人が、「BABAビザって何?」「おばあちゃんがピザを焼いてるの?」と思っているかもしれません。
そう思う方もいるかもしれません。
この記事では、千葉県山武市で話題の“おばあちゃんたち”が営む人気ピザ店「BABAビザ」について、その魅力や誕生の背景、地域への影響などを5つのポイントに分けてご紹介します。
BABAビザとは?千葉県山武市で話題のピザ店の正体
千葉県山武市にある「BABAビザ」は、平均年齢78歳のおばあちゃんたち6人が運営する、全国的にも珍しいピザ専門店です。この店名の“BABA”は、親しみを込めて使われる「おばあちゃん」を意味しており、文字通り高齢の女性たちが主役となって現場に立ち続けています。テレビ番組『オモウマい店』で紹介されたことをきっかけに注目が集まり、いまでは県内外から多くのファンが訪れる人気店となりました。
このピザ店の特徴は、単なる話題性だけに留まらない「味とストーリーの両立」にあります。提供されるピザは地元・千葉の旬の食材を活かした手作りで、見た目も味も本格的です。「はまぐりピザ」や「野菜たっぷりピザ」など、地域の風土や文化が詰まったメニューは観光客にも地元住民にも愛されています。
BABAビザがオープンしたのは2021年、コロナ禍で社会全体が沈んでいた時期でした。そんな中、「年齢を理由に何かをあきらめたくない」という想いを持つ女性たちが立ち上がり、「ピザを通じて地域を元気にしたい」という一心で店をスタートさせたのです。ピザという若者向けのイメージが強い料理に、あえて高齢者が挑戦したことが話題を呼び、SNSでも多くの共感や称賛が寄せられています。
平均年齢78歳!“おばあちゃん”たちが主役の秘密
BABAビザの最大の魅力は、なんといってもその“運営メンバー”にあります。店を切り盛りしているのは、全員が地域に暮らす70代〜80代のおばあちゃんたち。中心人物である代表のキョウコさんは、39歳で夫を亡くした後もさまざまな困難を乗り越えてきた経験を持ち、地域の女性たちと「笑の会」というグループを結成しました。その活動の一環としてピザ作りを始めたことが、BABAビザ誕生のきっかけでした。
メンバーはそれぞれ農業や主婦業など、これまで培ってきた知識と経験を活かしながら店を運営しています。ピザ作りに関しては、誰一人として最初からプロだったわけではなく、料理本を読み込み、実際に他店を食べ歩きながら研究を重ねたといいます。技術習得の過程で何度も試作を繰り返し、改良を加えてきた努力が、今の本格的な味へとつながっているのです。
また、彼女たちは単なる“働く高齢者”ではなく、仲間との交流を日々楽しむ存在でもあります。ピザ作りの合間にはフラダンスを踊ったり、ゲートボールを楽しんだりと、まるで部活のような雰囲気が店全体に広がっています。この明るく元気な空気感こそが、BABAビザが多くの人の心を掴む理由のひとつです。
来店するお客様の多くが、ピザの味だけでなく、彼女たちとの会話を楽しみにしており、「ここに来ると元気がもらえる」と語る人も少なくありません。ただピザを食べに来るだけではない、人と人とが繋がる“居場所”として、BABAビザは地域にとってかけがえのない存在になっています。
BABAビザが地域にもたらした3つの効果とは
BABAビザの存在は、単なる話題のピザ店にとどまらず、地域社会にさまざまな前向きな変化をもたらしています。特に注目すべきは、「高齢者の生きがいづくり」「地域コミュニティの活性化」「外部からの注目による地域認知度の上昇」という3つの点です。
まず一つ目は、高齢者の生きがいづくりに大きく貢献しているという点です。BABAビザで働く女性たちは、自分たちの経験や力を活かして新しいことに挑戦しています。「もう歳だから」「今さら無理」と思われがちな高齢者層が、自らの意志で仕事を楽しみ、地域の一員として役割を果たしている姿は、多くの人に勇気を与えています。また、ピザ店での活動が日々の生活のリズムを整え、心身の健康維持にも役立っていることが評価されています。
二つ目は、地域住民同士のつながりがより強くなったことです。BABAビザには、地元の家族連れや高齢者仲間が自然と集い、交流の場として機能しています。店で出会った人たちが会話を交わす中で、新しいつながりが生まれたり、地域の情報が共有されたりする場面も多く見られます。このような“つながり”は、孤立しがちな高齢者にとって非常に重要であり、地域の絆を深める効果があるのです。
そして三つ目は、外部からの注目によって山武市という地域そのものの認知度が上がったことです。テレビやネットメディアで取り上げられたことにより、「BABAビザって何?」「行ってみたい!」という声が全国から寄せられるようになり、観光客の来訪も増加しました。飲食だけにとどまらず、地域の魅力発信という点でも、BABAビザは重要な役割を果たしているのです。
このように、BABAビザは「おばあちゃんたちが焼くピザ」という一見ユニークな取り組みでありながら、そのインパクトは地域のさまざまな側面に良い影響を与えているのです。
BABAビザから学ぶ!地方創生と高齢者活躍のヒント
BABAビザの事例は、地域の未来を考える上で大きなヒントを私たちに与えてくれます。とりわけ、「高齢者を支える」のではなく、「高齢者自身が地域を支える」存在として活躍する姿は、これからのまちづくりに欠かせない視点です。
地方創生の現場では、よく「地域資源の活用」という言葉が使われますが、BABAビザの最大の資源は、まさに“人”でした。地域に住むおばあちゃんたちが自ら動き、仲間と力を合わせ、商品を生み出し、お客様と交流する。これほど自然体で温かみのある地域モデルは、行政主導ではなかなか実現できるものではありません。だからこそ、自治体関係者や地域づくりに関わる人々にとって、BABAビザは非常に学びの多い成功例なのです。
また、「ピザ」という誰にでも親しまれる食べ物を選んだ点も非常に戦略的でした。和食や郷土料理と違い、ジャンルや年齢に縛られないピザは、世代を超えて楽しめるメニューです。そのため、若者から高齢者まで幅広い客層を引きつけ、店そのものが“地域交流のハブ”として機能しています。このように、商材選び一つ取っても、多様な世代をつなぐ工夫が随所にちりばめられているのです。
さらに重要なのは、BABAビザが単なる“高齢者支援”ではなく、「挑戦できる場」として存在していることです。彼女たちは決して受け身ではなく、自分たちでアイデアを出し合い、試行錯誤しながらよりよいものを目指しています。その姿勢は、地域に生きるすべての人にとって刺激となり、「自分もやってみよう」と思わせる原動力になります。
今後の展望
BABAビザの活動は、いまや単なる地域密着型の飲食店の枠を超え、全国の高齢者や地域づくりの関係者にとっての希望の象徴となりつつあります。今後は、他地域へのモデル展開や視察受け入れ、さらには地元の学校や若者たちとのコラボレーションによって、世代間交流の促進にもつながる可能性があります。
さらに、こうした取り組みが行政や企業と連携することで、より持続可能で広がりのある仕組みが生まれていくでしょう。重要なのは、単に注目を集めるだけでなく、地道に日々の営みを積み重ねながら、「地域の笑顔の起点」となり続けることです。BABAビザがこれからどのように進化していくのか、多くの人々がその歩みを温かく見守り、応援していくことが求められています。
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