首都圏の鉄道網において長年構想されてきた「蒲蒲線（新空港線）」が、ついに現実味を帯びています。この新路線は、東急多摩川線の蒲田駅と京急空港線の京急蒲田駅を結ぶ約800メートルの鉄道計画であり、これが実現すると西武線、東急線、東京メトロとの相互直通運転が可能になり、羽田空港へのアクセスが大幅に向上すると期待されています。
本記事では、蒲蒲線の概要、計画の背景、相互直通運転の影響、そして今後の展望について詳しく解説します。
1. 蒲蒲線（新空港線）の概要と目的
蒲蒲線の基本情報
- 路線距離： 約800メートル
- 接続駅： 蒲田駅（東急多摩川線） – 京急蒲田駅（京急空港線）
- 計画段階： 東京都と大田区が2022年に整備費用の合意を発表
- 事業費： 約1,360億円
- 開業予定： 2035年頃を目標
蒲蒲線の整備目的
- 羽田空港へのアクセス向上
- 現在、東急線から羽田空港へ向かう場合、品川や浜松町を経由しなければならず、遠回りになっています。
- 蒲蒲線が完成すると、東急線や西武線から羽田空港へ直通運転が可能となり、移動時間が短縮されます。
- 蒲田エリアの交通利便性向上
- JR蒲田駅と京急蒲田駅の間は約800メートル離れており、現在は徒歩移動が必要です。
- 蒲蒲線が開通することで、乗り換え時間が短縮され、利便性が向上します。
- 首都圏鉄道ネットワークの強化
- 西武線・東急線・東京メトロと羽田空港を結ぶ新たな直通ルートが誕生し、鉄道利用の選択肢が広がります。
2. 西武線・東急線・東京メトロとの相互直通運転の可能性
蒲蒲線の開通により、以下の路線と羽田空港の直通運転が実現する可能性があります。
① 西武池袋線・新宿線との直通運転
- 池袋や西武新宿方面から羽田空港へ乗り換えなしでアクセス可能に。
- 埼玉県（所沢・川越エリア）から羽田空港までのアクセス向上。
② 東急東横線・目黒線との直通運転
- 渋谷・横浜エリアから羽田空港へのダイレクトアクセスが実現。
- 相鉄線とも接続し、神奈川県西部からも羽田空港へアクセスしやすくなる。
③ 東京メトロ副都心線との直通運転
- 池袋、新宿三丁目、渋谷といった副都心エリアから羽田空港へのアクセスが容易に。
- 東武東上線や西武池袋線沿線の利便性向上。
これにより、首都圏各地から羽田空港への鉄道アクセスが飛躍的に向上すると期待されています。
3. 羽田空港直通のメリットと影響
蒲蒲線の整備によって、以下のようなメリットが期待されます。
① 空港アクセス時間の短縮
- 例えば、西武池袋線の所沢駅から羽田空港への移動時間が、現在の約60分から約45分に短縮される可能性があります。
- 渋谷駅から羽田空港までの所要時間も大幅に短縮される見込み。
② 観光・ビジネスの活性化
- 羽田空港からの直通アクセスが増えることで、観光客やビジネス利用者の利便性が向上。
- 都心部と羽田空港の間の移動がスムーズになり、企業の業務効率も向上。
③ 鉄道ネットワークの強化
- 蒲蒲線の開業により、京急線・東急線・西武線・東京メトロが一体化し、鉄道利用の選択肢が増加。
- 品川や浜松町を経由しない新ルートの確立。
4. 現状と今後の展望
2022年6月 東京都と大田区が費用負担で合意
- 東京都と大田区が蒲蒲線の整備費用を共同負担することを発表し、計画が前進。
- 事業費は約1,360億円と試算されており、国の支援も視野に入れている。
2024年 国が新空港線に3,000万円の予算を計上
- 国が蒲蒲線の実現に向けた調査・設計費用として3,000万円の予算を計上。
- 2035年の開業を目指して、本格的な調査・計画が進行中。
今後は、具体的なルートや駅の設計、施工計画の策定、環境影響評価などが進められ、開業に向けた準備が本格化すると見られています。
5. まとめ：蒲蒲線は羽田空港アクセスの未来を変えるか？
蒲蒲線（新空港線）の整備は、首都圏の鉄道ネットワークに大きな変化をもたらし、羽田空港へのアクセス向上や地域経済の活性化に寄与すると期待されています。
✔ 西武線・東急線・東京メトロとの相互直通運転で、首都圏全体の利便性が向上
✔ 羽田空港までのアクセス時間短縮で、観光・ビジネス利用者の負担軽減
✔ 東京都と国が計画を推進しており、2035年開業を目標に整備が進行中
今後の進捗に注目しながら、新たな鉄道計画の実現を期待したいところです。
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